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プレイ記録のような小さなお話、の続き。

どういうことなの、と言われそうな気もしつつ、書き切れなかった部分を補完しようとしていたら続きになったので仕舞い込みに参りました。こちらの続きですので未読の方はリンク先からお読みになっていただければ。FE聖戦の系譜の終章、イシュタルVSティニーのお話の続き、名前の出なかった風の青年目線です。プレイの記録も兼ねているので親世代や子世代のカップリングについても前述のものより強く出ておりますことをご了承くださいませ。







*******

『命を懸けて立つ君へ』

 賭けさせてください、お願いします。
 危険すぎる! と激昂した彼女の兄と、賭けるには分が悪すぎる、と渋っていた軍師を、脅しにも近い手段で押し切ったティニーは、私の目の前で賭けに勝ってくれた。私の立ち会いが許されたのは、彼女の周囲の風に活力を与えて少しでも確率を上げるためであり、彼女が賭けに負けた時に私が手を下すためでもある。
「どれ程わたしが傷ついても、わたしの命が潰えるまでは、セティ様は手を出さないでください」
 私が立ち会うと伝えた時に彼女が提示してきた条件は、傷を負えば負うほど魔力が高まる彼女の資質を知らなければ到底肯えるものではなかった。いや、知っていたとしても本当は呑みたいものではなかった。その言葉はつまり、どうあろうとも、彼女が満身創痍になるということを示していたのだから。それでも。
「イシュタル姉様!」
 倒れゆく雷神の前、彼女は叫びながら崩れるように膝をついた。私は慌てて駆け寄る。彼女の涙が傷のせいではないことくらいは分かった。
 わたしにセティ様を恨ませないでください。
 彼女のその一言が私の参戦を許さなかった。
 他の誰よりも先に賭けについて相談され、だから魔道書を貸して欲しいのだと懇願された。風の中級魔道書。父から譲り受けたその魔道書を、結局私は彼女に貸した。彼女の勝率を引き上げるその魔道書なしでも彼女は賭けに望む気でいたのだから。
 魔力も、魔法の耐性も、雷神イシュタル殿のほうが上。四つのリングで能力を底上げし、属性相性を利用した上でも、ティニーが勝てる確率は決して高くはなかった。トールハンマーに本当に耐え切れるのか、その場で二撃を放てるのか。神器を持つ相手に神器なしで相対するなど愚の骨頂と言えるだろう。それでも彼女は命懸けでそれを選び取り、そして成し遂げた。
 小さなその背中を強く抱き締めたい衝動に駆られながらも、傷に障る内はそんなことをするわけにはいかなくて、私はリカバーの杖を取り出す。生きていてくれた。そのことだけを喜びながら杖の力を解放する。彼女の傷をすべて癒してから私はやっと衝動に身を任せた。彼女が驚いたように身体を強張らせたのが分かる。
「せ、てぃ、さま」
 身体の力が抜けていく彼女に涙声で呼ばれて、腕に力をこめてしまう。もたれてきてくれたティニーの腕の中にはトールハンマーの魔道書が収まっていた。かけてやれる言葉など何一つ見つからない。
「ティニー」
 名前を呼んで、抱き締めて、彼女が生きていることを確認しながら、イシュタル殿の亡骸を見る。敵味方に分かれてなおティニーが慕う従姉。悲しい雷神。
 しばらくの間の後、ふわ、とティニーの周囲に炎が浮き上がった。本能的に怯みながらも腕は解かない。炎は風を掻き消す。風の直系に生まれた私は、実は人一倍炎に対しては臆病だ。そのことを知っているのは私以外にはただ一人、この腕の中にいる少女だけだけれど。
 雷と炎、二つの血を継ぐティニーは、浮かべた炎をイシュタル殿へと向けた。金を含む紅の炎は浄化の炎なのだと聞いたことがある。亡骸のみを焼き清めることも可能なファラの炎。イシュタル殿が一途に見つめていた皇子もその炎の血を継いでいるはず。
 イシュタル殿が炎に包まれる。ティニーが身じろいだ。まだ戦は終わっていない。亡骸を運んで安置する余裕などないのだ。私はティニーの髪に口付けを落として腕を解いた。その両足でしっかりと立ったティニーは、トールハンマーの魔道書を手に、顔を拭って炎の中に朽ちていくイシュタル殿に一礼する。
「お預かりしますから。どうぞ安らかに」
 後発隊となってくれた本陣のものと思しき蹄の音が聞こえてくる。闇に堕ちた皇子を闇の手から救い上げるために。
「行きましょう、セティ様」
 振り切るようにティニーが王都バーハラに視線を向けた。その瞳にもう涙はない。イシュタル殿を討った自分を恨むことで悲しみを封じ、最後まで戦場に立ち、見届けようとしているのだろう。元来戦を好まない彼女は自分を傷つけることを躊躇わない。
 臆病に見えて頑なな彼女に何度無茶をするなと言っただろう。それでも彼女は言い放つ。人を傷つけるのに傷つかなくていいはずがありません。その覚悟もなく戦場に立つことは出来ません。
 守り囲われればきっと立てなくなると思い込んでいる、人に頼ることを忘れたような雷の姫だから、傷を負う度にそれを癒してあげることしか、私にはもう選べなくて。
「そうだね、行こうか」
 この場が荒らされる前に、と、私はティニーに気付かれないように、風に頼んで雷神の「亡骸」を集めた。
 すべてが終わったらイシュタル殿の帰りたかった場所をティニーに訊いて、そこへ埋葬して。ティニーが飲み込まざるを得なかった涙を流させてあげるために。
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[ 2013/08/29 07:34 ] FE聖戦 | TB(0) | CM(1)

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[ 2013/09/22 18:58 ] [ 編集 ]

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