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プレイ記録のような小さなお話。

新カテゴリとしてもう立てておきます、FE聖戦。情熱ってそんなものだよね!
最後まで突き抜けるようにクリアしたわけですが、終章でね、ある程度狙って準備はしていたのですがね、確率的には厳しいだろうなあと思っていたイシュタルVSティニーが綺麗に収まって泣きそうになってしまったのでお話仕立てにして記録に残しておこうと。
動画もいくつかありますがやり方はそれぞれだなあとしみじみしたところです。色々あってどれもこれも良い。
イシュタル目線でかりかりと。こんな見方もあるんだなあくらいで、興味のあるかたは続きを読むからどうぞ。





*******

『雷神の願い』

 ヴァイスリッターを従えてフリージ城へと向かう途上、行く手をふさぐように立つ二つの人影が見えた。平地にたたずむ緑の髪の青年はこぼれるほどの風をまとっている。その傍ら、私と同じ紫銀の髪の少女は、唇をかみ締めて道の上で身構えていた。あの髪を二つに分けて結ってあげていたのはもう昔のことになってしまったのだと痛感する。
「イシュタル様」
「道を開けなさい」
 端的に指示を求めてくるヴァイスリッターにこちらも簡潔に答える。青年が風の神器を持ち出していることはヴァイスリッターの面々にも分かるだろう。風の神器は使用者に俊敏性を与える。滅多な攻撃などかすりもしない。ヴァイスリッターは心得たように少女のほうに殺到する。
 父親を知らず、母親を早くに亡くし、私の母である伯母から無体な扱いを受けていた少女。生き別れていた実の兄の手を取ってフリージ家を飛び出した雷の姫。
「ティニー」
 少女の名を呼んだのは私ではなく傍らの青年のほうで、少女は答えるようにひとつ頷くと魔力を解き放った。
 それは、煌く風の色。
 雷の、フリージの家にある間は、あの子は雷を払う風に決して手を伸ばそうとしなかったのに。
 驚きに目を見張る私の前で少女は悲しげに宣言する。
「フリージのティニー、お相手いたします」
 ヴァイスリッターの軍勢を前に怯むこともない。刃を、鏃を、踊るようにかわし、時にその身に受けながら、相手に風の魔法を撃ち放つ。容赦のない風は襲撃者の命を痛みを感じる暇すら与えず奪っていく。一撃必殺のお手本のような魔法攻撃。戦場を嫌っていたティニーもまたフリージの血を継ぐ魔法戦士だったということだ。魔力も身ごなしも見事なものになっている。フリージの象徴たる雷ではなく風を選んだのは、きっと。
 予測を立てているうちにヴァイスリッターはほぼ壊滅状態に陥っていた。杖を握っている司祭たちが流石に戸惑いつつも歩を進める。私はその合間を縫うように駆けた。ティニーにも、その傍らに立ったままの青年にも、届く距離。いくら私が神器を扱うからといって、雷の神器で風の神器に立ち向かうような愚は冒せない。死に急いでいるようだな。バーハラを発つ前のあのひとの言葉を振り切るようにティニーの前に立った。
「ティニー……」
「イシュタル姉様、もう止めてください!」
 思わずこぼれた呼びかけに、返ってきたのは切り裂くような強い声。
「姉様はわたしに優しくしてくださいました。こんな戦いなど望まれていないはずです」
 負った傷を隠すこともなく、面と向かって、真っ直ぐに。私たちの元を去ってから、優しいだけだった従妹は随分心も強くなったようで、こんな場面だというのに思わず笑顔がこぼれそうになる。
「……私は間違っていたのかもしれない」
 ああ、フリージの修道院にかくまっていた子どもたちは無事だろうか。ティニーや、ティニーが今属している解放軍の軍主が見つけてくれているのならば、きっと悪いようにはしないでいてくれるだろうけれども。彼らは未来への希望なのだから。
 父は自分の足元を見るのに懸命で、母は血縁のアルヴィス皇帝につられるように闇へと染まり帝国の悪しき決まりに加担し始めた。兄はひたすらにフリージを守りたかっただけ。そして、私は。
「だけど、もう後へは戻れないの……」
 闇に抗えなかったあのひとの傍らに、ほんのひとかけらでも、ぬくもりを残したくて。いつかあのひとが闇から抜け出せる日が来るように。
「許してね、ティニー……」
 雷の神器トールハンマーに魔力を込める。割って入ってくるかと思っていた風の青年は事ここに及んでも沈黙を保っていた。ただ、悲しそうに、痛みを堪えるように、ひたむきにティニーを見つめている。
 昂る雷にティニーも気付いているはず。それでもティニーは怯えることもなく私を見ている。慈しみの感情が湧き出す前にと、私は詠唱を完成させた。
 さようなら。
 トールハンマーをティニーに向けて撃ち込む。ティニーが莫大な雷の中に包まれる。周囲から収束する無数の雷は対象にかわすことを許さない。ヴァイスリッターとの交戦の傷も残っていたから、もう、息はないだろう。せめてあの可愛い従妹が苦しむことなく叔母様の元にたどり着けますように。
 青年一人では道をふさぎ切れない。わざわざ彼と戦う必要性はない。そう思いつつ視線を彼に向けた時、突如膨れ上がった鋭い風が私を裂いた。一気に視界がかすむ。彼、ではない。彼は先ほどと変わらない表情のままで今度は私を見ている。
 暴発寸前の風の魔法。
「もう、おやすみに、なってください」
 搾り出された声はその主の命が危ういことを示している。そういう時ほど魔力が高まる子だと、私はきちんと知っていたのに。
「てぃ、にぃ」
 なんとか首を巡らせる。視線が合う。綺麗な藍の瞳は哀しみを湛えて揺らめいている。それでも彼女は手を組み合わせ呪を唱える。
 もう一度、同じ風が私を襲った。
 ティニーの頬を涙が伝う。雷が私から離れていく。宿していたトールハンマーの魔道書が私の体から抜け出していくのがはっきりと分かった。
 ああ、お願い。
「ユリウス、さま……」
 ティニーの瞳を見つめながらの言葉に、ティニーは一度大きく目を見開いたものの、はっきりと頷いてくれた。
 私ではあのひとが大切すぎて出来なかったから。あのひとを闇から解き放って。
 その願いが伝わったのだと思うと身体中の力が抜けていく。
「わたしは……」
 イシュタル姉様! ティニーが私を呼ぶ声ももう遠い。
 私は子を残すことが叶わなかったけれど、私を、そしてフリージを、後世に遺してくれる子がいてくれた。やっと今になって駆け寄ってくる風の気配に頬が緩む。
 私の可愛い従妹をどうかよろしく。声にならないこの願いは風の青年には届かないかもしれないけれど、もう後は託すしかないから、私は私の一番へと思いを馳せる。
 あなたが闇から解き放たれて、天上へ向かうその時は、必ずお迎えに上がります。闇に呑まれる前のあのかたを思い出しながら、私は溶けゆく意識に身を任せた。
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[ 2013/08/15 10:06 ] FE聖戦 | TB(0) | CM(0)

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