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時には昔のお話を。

「RO」。ご存知でしょうか?


ラグナロクオンライン」という名前のファンタジーオンラインRPGです。MMORPGのひとつですね。

実はVOCALOIDにはまり込む前はこのゲームにのめり込んでいました。
熱意を注いでいたのは三年間くらい、でしょうかね。今でもやりたい気持ちはあるのですが、度重なるアップデートのためにパソコンのスペックが追いつかず……。今やゲームを立ち上げるとパソコンが落ちるので、出来ません。
でもパソコン買い換えるとOSがXPじゃなくなるんだろうなあ……と思うと買い換えの踏ん切りもつかず。
KAITOとMEIKOはVista以降非対応ですからね……。動くとは知っていますけれど。



そんなラグナロクオンライン。
私のお気に入りの場所として、「生体工学研究所」というダンジョンがあります。通称「生体」。
プレイヤーたちと同じような姿の敵が出てくる場所なのですが、なんというか、こう。
その敵たちに萌えたんです。というか今でも萌えられます。生体大好きだ!

イベントをこなすとちょっとずつバックグラウンドが見えてくるので、それを踏まえて妄想を走らせるうちに、お話を書くくらいに漲ったのです。書き上げた当初にこっそりとある場所にあげたこともあるのはヒミツ。


前置きが長くなりましたが、つまりはですね、そのROの生体の敵キャラで漲った話を置いておこうと思ったのですよ。
とある大型アップデートのエピソードもちょっとばかり盛り込んだものです。……しかしそのアップデートが二年以上前のこととは……時の流れって早い。
それに、良く考えたら、これが私の初めての二次創作というやつではなかろーか……。

生体の一次職、マジシャンとシーフのふたりのお話です。
興味のある方は、続きを読む、からどうぞ。




*******


『遥かな故郷』

 月が綺麗で、風が甘くて、心の澱が溶けちゃいそうな夜。
 あたし……ヒュッケバイン=トリスは、いつものように狭苦しい部屋を抜け出して、いつものように外庭の木に登って枝に腰掛けていた。
 随分と研究所の中で暮らしてきて、別にそこがキライなわけでもないけれど。やっぱりどこか、息が詰まるような感じがする。
 夜になるたびに抜け出してしまうのはそのせいなんだろうな。
 昇りかけの月と輝きを増す星が彩る夜空を見上げる内に、あたしはいつもとは違って、目線が何かと一定の方角に向いていることに気がついた。
 ……このリヒタルゼンから見えるはずなんてないのに。南東に遠くあるあの町が……。

「トリス?」
「にゃうっ?!」

 ぼけーっと自分の思考に陥っていたから、突然の呼びかけに思わず変な声を上げてしまう。
 慌てて声の主を探すと、木の下から見上げてくるラウレル=ヴィンダーと目が合った。
 深い深い瞳の色。……見えすぎて困る、なんて馬鹿げたことを言って、いつも片目を髪で覆ってしまってる。今あたしを見上げてきているのも、綺麗な片目。

「ラウレル……。ったく、驚かさないでよ」
「ああ、悪い」

 平坦な口調で謝られた。付き合いは……何のかんので長くなったけど、相変わらずなヤツ。
 ため息をついて目線を元の南東の空に戻すと、木に小さな揺れを感じた。多分、ラウレルが幹にもたれたんだろう。

「眠らなくていーの?」
「お前が寝ない間はな」

 何となく聞いてみた問いの返答は予想外の言葉。何度か瞬きとその言葉を繰り返して、……間抜けな声が漏れた。

「……は?」
「気にかかるんだろう? モロクが」
「っ!」

 思わず息を飲んだのが……ラウレルにも伝わっちゃっただろうか?

「昼に来ていた冒険者たちが話していた。『魔王モロクが復活した』『砂漠都市モロクが壊された』と。モロクはお前の故郷だから、気にするだろうと思っていた」

 ……うっわぁ、この男ってば。
 衝撃受けてるあたしに気付いてるのかどうか、ラウレルは淡々と続ける。

「子どもがどうとか、生贄がどうとか、そんな物騒な話もちらっと聞こえたしな。お前のことを鑑みると、気にかけない訳がないだろう」

 どれだけ見抜けば気が済むのよ、なんて思う。ぴんぽ~ん、全問正解。
 だけど言ってやんない。夜の闇で隠れた顔に笑みを張りつけ、あえて足をぶらつかせながら、明るい口調で答える。

「何言ってるのよぉ。あたしがそんなこと気にするわけないじゃない」

 戻れない故郷。ここに来て、あたしは『殺戮人形』にされているから。スイッチが入ってしまったら、あの愛おしい故郷をすら血の海に変えることを望むだろう。
 どれ程懐かしくても、どれ程慕わしくても、どれ程護りたくても……、戻ることも出来ない。

「夜の散歩とお月見はあたしの習慣だって、ラウレルも知ってるでしょ?」

 でも、決めた。こんな風になって、同じ体質を与えられた仲間たちに引き合わされた時に。
 あたしは笑っていようって。皆と共に、少しでも明るく、歩いていこうって。

「いつもより月が綺麗だなあって思って眺めてただけだよ」

 だって、いつもいつも一人だったあたしに、家族なんて知らなかったあたしに、暖かい繋がりをもたらしてくれたから。
 少しでもその喜びを返したいと思うことは、きっと、間違ってないと思う。

「まぁったく、突然何言い出すかと思えば……」
「誤魔化さなくて良い、トリス」

 ラウレルの低い声があたしの言葉を遮る。口調はやっぱり平坦だけど、気遣ってくれてるのが分かる。
 そのくらい、あたしたちは一緒に居た。

「お前はいつも、周りを気にかけているからな。こういう時くらいは周りの為に自分を殺さなくても良いと思う」

 スイッチが入ると怖いくらいに呪文を唱え続ける声。血と力に酔って唱え続ける呪は侵入者の生存を許そうとしない。
 でも、本当に、こういう時の声は平坦なくせに優しくて、……波立った心にすんなりと入って来る。

「ラウレル、でもね、あたしは……」 
「そうは言っても、何をしてやれるわけでもないが……」

 あたしの話聞く気ないわねこのやろう。言い訳もさせてくれないなんて。
 ぶらつかせてた足を止めて睨み下ろしてやる。木の根元で幹にもたれて、片膝を立てたまま座るラウレルの姿を認めた瞬間。

「一人で想うのは、辛いだろう?」

 深くて、重い、言葉が響く。
 ……頭良いくせに、バカなラウレル。一人で想い続けてるのはどっちよ。あたし、知ってるんだからね。
 そう言ってやろうと息を吸った瞬間、喉がひりついて。ぽつ、と膝に雫が当たった。頬を滑る風がやけに冷たく感じられる。
 バカ、とだけ小さく呟いて、慌てて涙で揺れる視界を南東の空に向けた。
 懐かしいのかもどかしいのか悔しいのか……、切ないのか、恋しいのか。あたし自身分からないままに、ただ、壊されたと聞く故郷に涙を手向ける。
 零れ落ちる雫は、……下に居るラウレルのところにも、届いているんだろうか?



 やっと涙が止まった時には、月が夜空の頂点に差し掛かっていた。

「……あんまり、良い思い出ばっかじゃ、ないの」
「ああ」

 泣き続けたせいで掠れた声を絞り出すと、当然のことのように応えが来た。
 随分時間は経ったはずだけど、その間、言葉も動きも封じて、じっと待っててくれたんだ。

「親は……居なかったし。色んな人の手を渡ったから……。色々、いやな目にも遭って」
「だろうな」
「でも、……でもね、だからこそ分かった、いろんな良いところも、あるの」
「そうか」

 淡々とした受け答えを聞きながら思い出すのは、乾燥した砂漠都市モロクの空気。
 ざらついて息苦しいっていう人も居るけど、あたしは、あの空気が好き。
 何を抱え込んでも、何を吐き出しても、吸い出して吸い取ってくれちゃいそうな、抱擁の空気が。
 そしてその空気に包み込まれた、あの砂漠都市が、やっぱり大好き。

「あの町に生まれて良かったって思うことの方が、あの町に生まれなければ良かったって思うことより、多かった」
「お前らしいな」
「うん、そうかもね」

 抱えてたものを全部暴かれた。当たり前のように受け止めてもらえた。あたしはやっぱり幸せ者だわ。
 いつものくせでポニーテールに結い上げていた髪をほどいて、一息ついて、落ち着いたところで下を見下ろす。
 殆ど姿勢を変えてない魔術師がそこにはいた。目線を上げてくるでもなく、だからといってあたしを無視してるわけでもない。
 不器用というか、複雑な優しさに、胸が一杯になって……言葉がこぼれる。

「……ラウレルは?」
「は?」

 意表をつかれたらしいラウレルの声を聞きながら、音もなく枝から降りる。
 不審げにあたしの居た枝を見上げるラウレルの死角に回って、後ろから首にしがみついてやった。
 これでもシーフギルドの同期に一目置かれてたシーフなんだからね。髪で片目を隠してる魔術師相手ならこのくらい当たり前のように出来る。
 あたしばっかり暴かれてたまるもんか。嬉しいけど負けた気がして悔しいんだから、その思いをラウレルにも味あわせてやるんだ。

「っ! トリスっ?!」

 物凄く焦った声。うろたえた隙を狙って、あたしは指先をひらめかせる。
 逃げられないように首に絡めた左腕に力をこめて、右手で彼の目の前に突きつけるのは、すりとった『死者の遺品』。
 ラウレルがいつも懐に収めてることも、それがどんな意味を持つのかも、あたしは知ってる。

「っ!!」

 本当に気づかれてないと思ってたんだろう。衝撃で強張るラウレルが……、何だか、愛しい。
 殺戮の呪いを唱える姿からは想像出来ないくらい、バカで、意地っ張りで、不器用な男。
 さっき泣かされたセリフをそっくりそのまま返してやる。

「一人で想うのは……辛いんでしょ?」
「っ、お前っ、知って……っ」
「ばぁか」

 笑いながら言うと、大きなため息が返って来た。ラウレルの両手がゆっくりと上がって『死者の遺品』を包み込む。
 壊れ物を扱うかのようにそおっと、……あたしの手ごと。

「……何処で知った?」
「何処で、っていうか。いつもいつも抱えてるなあって。……ああ、あたしもだからかなあ。きっとね、セニアもアルマもイレンドもカヴァクも、何かしらの形で抱えてると思うの」

 今、ここには居ない仲間たちの名前を挙げてから、……絞り出すように口にする。

「あの日々の中で見た、数多の命を」

 ぎゅ、とラウレルの手に力が篭る。思い出してるんだろう、あの『研究』を受けていた日々を。
 その中であたしたちは……少なくともあたしは、力を磨く為に、力を試す為に、幾つもの命を奪ってきた。
 奪わされた、と言えなくもないけれど。覚えてる。命を奪った感覚を。奪ったのはあたしだ、ということを。

「だから、あたしに何がしてあげられるか分かんないけど。ラウレルだけの重荷じゃないよ」
「……これは、それだけじゃない」

 小さく囁くような言葉。あたしの手ごと『死者の遺品』がラウレルの膝の上に降ろされる。肩越しにそれを覗き込みながら、すぐ傍の横顔に囁きかける。

「……魔力の導体?」

 お前何処まで知ってるんだ、と小さくぼやかれて、推測していたけど今までずうっと問えなかった言葉をそっと唇に乗せる。

「や、だって、呪文唱える時、時折懐に手をやってるでしょ? そこにコレを収めてるのに気付いた時に、何となく、ね。……それに、聞いたことあるし」
「何を?」
「うっわ、忘れてるんだラウレル」
「は?」
「あなたがあたしに教えてくれたんじゃない。ソウルストライクの呪文について」
「……あ。え、お前、あんな前のこと……、覚えてたのか」

 ソウルストライクは聖霊に、いや、英霊に力を借りる呪文だ。無闇に使うものじゃない。
 最初に会った時に、ラウレルが魔術師と聞いて。色々な魔法を見せて欲しいとねだったあたしに平坦に言い放ったその言葉。

「英霊って何なのか、その時は分かんなかったけどさ。知った時に、ああ、そうなんだ、って思って。強くなる為に、ラウレルは、ずうっと抱えるつもりなんだなあって」

 あたしの手を包んでくれている手に温もりはない。それはあたしも同じ。人の肌の感触を与えることは出来ても、人の温もりを与えることは出来ない。
 本当にあたしたちは『殺戮人形』になってしまった。
 だから、強くあろうとしてしまう。だって、戦えなくなった力なき『殺戮人形』を待つのは……、廃棄の二文字だけだと知っている。

「ラウレルの強さや力に助けられてる身としては、一人で勝手に抱えられちゃうと困るんだけど。……なかなか、さ、言い出すキッカケ、見つけらんなくって。まぁさか先にあたしが頼らされるとは思ってなかったなあ。不覚不覚」

 思わずそんな風にぼやいた瞬間、ぼそぼそっとラウレルが何かを呟いた。

「何か言った?」
「……男だからな」

 目を丸くして間近のラウレルの顔を覗きこむと、ふいっとそっぽを向かれた。
 頬が赤くなったりとかはしてないけど、というかするはずがないけど、これは照れてる時の仕草だ。
 それでも、右手は包み込まれたまま離されない。伝わるはずのない温もりを伝えようとしているかのように。

「……たまんないなあ」
「何か言ったか?」
 
 言葉を繰り返す代わりに、肩に額を押し付けて、首に絡めていた左腕をラウレルの腰に回し直して、背中にそっと寄り添う。
 ぱっと見は細身なのに、やっぱり男性の体つきなんだって、くっつくと実感する。
 広い肩幅に大きな背中。あたしの大好きな、今でも大好きな故郷に良く似た男。
 色々背負っちゃって、抱えちゃって、……でも、それを簡単には見せてくれない。

「……、トリス?」

 いぶかしげに聞いてくる居心地の悪そうな声。そのまましばらくじっとしていたら、困ったようなため息一つ。

「お前の故郷だろう。……壊れても、大丈夫だ。いつかは立ち直る。時間がどれだけかかっても」

 優しい呪文がゆっくりと唱えられていく。小さく、あやすように、包み込まれた手が指でノックされている。

「遠く離れても、こんなに思われている場所なんだからな」

 見えるかどうかなんて考える暇なく頷いて、もっと強く、ラウレルの身体にしがみついた。
 本当はしがみつけもしない、……懐かしい故郷を抱き締めるように。


 柔らかな朝日で辺りが染め上げられるまで、ラウレルは何も言わず、ずうっとあたしにしがみつかれたままだった。
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[ 2010/12/28 01:08 ] 小説の小節 | TB(0) | CM(2)

ラグナロクとは懐かしいですね。私も課金直後からずーっとやってました。
生体に蠢く、プレイヤーと同じカタチのMOBはなんだか、いつか自分もそうなるんじゃないだろうか、なんて妄想にふけったりしたものです。
久々にROの二次創作を堪能させていただきました。いやぁ、甘ったるい(*ノノ
機会があれば私のほうもあげてみようかな。ホムネタですが。

では失礼します(*´∀`)ノシ
あ、良いお年をーw
[ 2010/12/31 13:48 ] [ 編集 ]

Re: 懐かしいですかw

>高原 黎幻さん
遅くなりました。あけましておめでとうございます。コメントもありがとうございますっ。

ラグナロクご存知のかたがいらした!
妄想の視点が違っていて興味深いです……。なるほど確かに、こちらがいつそうなるのか、というのも考えられますよね。

これはまださっぱり目のほうです。もっと甘ったるいものも考えていたことがあります!
どうやらひたすらに「らぶ」が書きたかったようですw
ホムネタですと……?! もし機会がありましたら是非!

お読みいただきありがとうございました~!
[ 2011/01/02 01:21 ] [ 編集 ]

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