スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

珍しく。

Twitterで呟いている内に、凄まじく突発的に思い立ったので、こちらにボカロのお話を置いておきます。
カイメイ前提ですがカイトとレンが出張ってますw 仲良し兄弟姉妹風味?
男マスター出てきますが、紫苑さんではありませんのでー。
……良く考えたらカイトとレン書くの好きだな、私。

興味がある方は続きを開いてやって下さいませ。

*******


「……なにこの光景」
 居間に入ったカイトは、思わずそんな声を上げていた。
 「収録だ付き合え」。そんなシンプルな台詞と共にマスターに録音室に引きずりこまれ、ぶっ通しで十時間のソロ収録を終え、夜も遅くなってから居間に戻ってみれば。
 ソファの近くで四人の女性が折り重なって眠っていたのだ。
「かわいいなあ……」
 ソファに座っているメイコ。ソファに座ってその肩にもたれているルカ。メイコの膝枕でソファの上に寝そべっているリン。ルカの膝を借りて絨毯に座り込んでいるミク。四人とも各々パジャマ姿で、幸せそうに眠り込んでいる。
 安らかな寝息の四重奏に惹かれるように、カイトはソファの間近まで歩み寄った。四人の寝顔を見つめて顔をほころばせる。
「あ、兄貴。おかえり」
 軽くひそめられた少年の声にカイトは振り返った。何枚かのタオルケットを抱えたレンがあきれ返った表情で立っている。
「レンくん、ただいま」
「そこどけ」
「あ、うん」
 カイトは素直に道を譲る。レンは絨毯の上にタオルケットの山をいったん置いて、一枚ずつ丁寧に広げ始めた。
「みんな、こんなとこで寝ちゃったんだね」
 しみじみと呟いたカイトを、じと、とレンが睨む。カイトが目を丸くした。
「え? え、なに?」
「別に」
 睨むのを止めて、タオルケットをそっとリンにかけるレン。首をかしげながらカイトもタオルケットを手に取った。丁寧に、リンの顔を覆わないように、そっとメイコの胸元にかける。
 ミクとルカにもそれぞれにタオルケットをかぶせて、レンがほっと息をついた。カイトがレンの頭を軽く撫でる。
「おつかれさま」
「……兄貴に言われることじゃねえよ」
「みんなの体調を気にしてくれたんでしょ?」
 レンは無言。それでもカイトの手を跳ね除けるようなことはしない。
「夏とはいえ、居間で寝ちゃうなんてね」
 レンの頭を撫でながら、しょうがないよねえ、などと苦笑交じりに呟くカイトに、レンが改めて鋭い視線を向けた。
「……レンくん?」
 カイトが瞬きながら尋ねると、睨んでいた目線を眠る四人に移して、レンが小さな声を落とす。
「……兄貴が遅いから」
「え?」
「マスターに捕まったんだろ、ってみんな言ってたけど」
 時折、突発的に、無茶をやらかすマスターのことは、みんな良く把握している。大体みんな被害に遭ったこともあるのだから。
「姉貴が、それなら兄貴待っててやらなきゃ、って」
 ぴた、とカイトの手が止まった。
「戻って来てみんな居なかったら、兄貴が落ち込むだろうから、って」
 ぼそぼそとレンが続ける。
「それ聞いて、ルカ姉が付き合うって言い始めて。ミク姉がお菓子とか取り出し始めて、リンがパーティだねってはしゃぎ始めて、で……多分、こうなったんだろ」
 兄さんはさみしがりだからな。ルカのぶっきらぼうな口調。
 お兄ちゃんって甘えんぼさんですよね。ミクの楽しそうな口調。
 カイ兄ってばメイ姉にべったりだよねー。リンのからかうような口調。
 カイト、大丈夫、……あなたはここに居て良いのよ。メイコの穏やかな口調。
 今は寝入っている四人の声がカイトの耳を過ぎる。
「兄貴はまだひとりが怖いんだろ?」
 素っ気無いレンの口調は現実の中で響いてきた。カイトは小さく笑って、レンの頭から手を離し、自分のこめかみを掻く。
「……あはは。情けないよね」
 弟妹たちにすら見抜かれている自分の弱さを笑って誤魔化す。レンがまだ残っているタオルケットを一枚取り、カイトに投げつけた。
「うわっぷ」
「何処が」
 最後のタオルケットを手に、レンが言い放つ。
「情けないだけの兄貴なら、ルカ姉もミク姉もリンもここまでするわけねえだろうが」
「……そう、かな」
「それに、んな奴に姉貴が惚れるわけねえだろ」
 さらりと言われて、カイトは思わずメイコに目線を向ける。妹たちに囲まれて幸せそうに眠るその姿。
「……惚れてくれてるのかなあ」
「実際のとこは姉貴に訊けよ」
「……だね」
 レンがタオルケットに包まって、ソファからは少し離れた絨毯の上に寝転がる。
「って、レンくん、そこで寝るの?」
「いーだろ別に」
「うん、良いけど」
 多分その理由はソファで寝ている四人と同じ。そう思うとカイトの口からは自然と言葉がこぼれだしていた。
「……ありがとうね」
「だから兄貴に言われることじゃねえっての」
 ソファに背を向けて、完全に眠る体勢になったレン。カイトの顔が緩んでいく。
「おやすみ」
「……おやすみ」
 レンの返答を聞いて、カイトは改めてソファの四人に目を向ける。
「ルカちゃん、ミクちゃん、リンちゃん。ありがとうね」
 起きたら改めて言わなくちゃ。そんな決意と共に、中心人物にそっと歩み寄って、周りの三人が寝ていることを確認してから。
「……メイコさん。本当に、いつもいつも、ありがとう」
 この光景をもたらしてくれた、一番愛おしい相手に、ささやかなくちづけを贈った。
スポンサーサイト

[ 2010/07/19 02:29 ] ボカロ小話 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nightwindwing.blog76.fc2.com/tb.php/180-fd09e798


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。